レッテラー・シーベ病

レッテラー・シーベ病morbus Letterer-Siwe 〔1924,1933〕

 〔症状〕生後1年以内に,発熱・貧血・血小板減少・肝脾腫・リンパ節腫大を生じ,全身に多数の紫斑・粃糠様鱗屑ないし血痂を伴う紅褐色小丘疹・浸潤局面をみる〔付図26-46〕.頭部は脂漏性湿疹,体幹はダリェー病に似る〔皮疹発生率80%〕.胸部X線像〔斑状・嚢腫状〕の異常,骨侵襲〔とくに側頭骨・中耳炎症状〕,感染防御能の低下〔重症麻疹・水痘・肺炎〕.


 組織球症Xの予後:Lahey〔1962〕はその侵襲臓器として,①皮膚,②肝,③脾,④肺,⑤下垂体,⑥骨,⑦貧血および/あるいは白血球減少または増加,⑧血小板減少および/あるいは出血性皮膚変化をあげ〔のちLucaya (1971)は⑨リンパ節腫大と中耳炎を追加〕,死亡率はこの数が2以下では5%,5~6では75%, 7以上では100%とした

 レッテラー・シーベ病〔良性型〕

 〔予後〕1年以内に死亡.乳幼児では内臓侵襲なく,皮疹のみが消長し,生命的予後の良好なものもかなり多く〔良性型〕,一方成人発生では古典的記載のように予後が悪い.

 〔治療〕ステロイド,抗腫蕩剤〔ビンブラスチン等〕,葉酸拮抗剤.OB.ハンド・シュラー・クリスチャン病morbus Hand-Schiiller-Christian

 〔症状〕眼球突出・尿崩症・骨欠損[とくに側頭骨]をtriadとする.2~6歳に多い.皮膚症状〔1/3にみられ則として,

 1〕Aにみられるような鱗屑を伴う丘疹,紅斑,紫斑.

 2)潰座化傾向を有する浸潤局面〔腋窩・口腔・外陰肛囲に多い〕.

 3)播種状黄色腫,顔・頚・腋窩・体側面に多い.

 その他肝脾腫・リンパ節腫大・腎・肺・脳に病変.

 〔予後〕死亡率30~50%

 〔治療〕ステロイド葉酸拮抗剤,X線.

 C.骨好酸球性肉芽腫

 〔症状〕主として骨を侵し,皮疹発生は稀であるが,黄褐色落屑性丘疹,潰瘍化傾向のある浸潤性紅斑を生ず.2~5歳から成人.自然退縮あり,またBに進行.

 〔予後,治療〕良好でX線に反応.

 〔組織所見〕増殖性・肉芽腫性・黄色腫性の組織球増殖で, A, C, Bにおいてそれぞれが特徴的であるが,各型を通じてみられ,また時期・部位的にも種々の程度に異なってみられる.表皮直下まで密に浸潤し表皮を破壊することも多い.増殖型では好酸性の広い原形質を持つ丸い細胞で,核は腎型・馬蹄型・木の葉状を呈し非中心性に存在.異型性の強いものでは予後が悪い.これにリンパ球・好酸球・出血が混在する.肉芽腫型では浸潤はより密で多核巨細胞・好中球・リンパ球・形質細胞・出血を混ずる.黄色腫型では泡沫細胞・巨細胞・好酸球が密に増殖し脂質陽性.

 この細胞はバーベック顆粒を有しATPase等陽性,C3・lg受容体陽性等よりラングルハンス細胞と考えられる〔Langerhans cell granulomatosis〕.