学際的なとりくみ

 学際的なとりくみ

 

 国と国とが寄り集まって仕事をすることを国際事業というように、内科学、整形外科学、婦人科学など専門科学が寄り集まって一つのことにとりくむことを、学際的とりくみという。骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折を生じる病気であることから、整形外科でとりくんできた病気であるが、女性ホルモンの欠乏が大きく関与しているために、婦人科でも更年期障害の治療の一部としてあつかわれるようになった。そして、腎臓からのカルシウムの排世が関係し、また副甲状腺ホルモンなどが関係する病気でもあることから、腎臓科、内分泌科など内科のあつかう病気ともたった。さらに、小児の頃からの予防が大切であることから小児科が、肝臓のはたらきが関係することから消化器が関係し、基礎医学では生化学、生理学、栄養学が、診断には放射線科学が、といったぐあいに、骨粗朧症は多くの科がかかわる学際的疾患となったのである。

 

 骨粗鬆症を研究対象としている科は多岐にわたっているが、患者さんにじかに接して、診断し、治療してくれる科としては、病院では主として整形外科、内科、婦人科があげられる。診療所では、これら三科に加えて、外科でも治療しているところが多い。これら臨床的なとりくみ以外にも、予防的な視点ではリハビリテーション科が指導してくれ、保健所や保健センターでは保健婦さんが運動量増加など日常生活の指導をしてくれる。また栄養に関しては栄養士さんが、保健所や病院などで、骨を強くするためのメニューや必要なカルシウム量を計算し、指導してくれるだろう。

 

 いすれにしても、当初は整形外科において骨折の予防・治療に焦点をしぼってとりくまれてきた骨粗鬆症が、今では多くの科がたずさわる、学際的疾患となったのである。さらに、医療のみでなく、保健や行政までもが関心をしめし、保健婦さんや栄養士さんなども指導にあたるといったように、ひろがりをみせている。