リング導子を子宮に挿入する核出術について

子宮腺筋症は、子宮内膜が子宮の筋層部分にできるもので、ひどい月経痛と出血の多さによって、日常生活に支障をきたします。ホルモン剤だけでは病変部分を治療することが難しいため、鎮痛薬で痛みを緩和しながら症状が治まる閉経を待つか、開腹手術や腹腔鏡手術を行って、子宮の全摘を行い、根治を目指すしかないといわれていました。

2005年、病変部のみを取り出す高周波切除器を用いた核出術という治療法が先進医療に認定されました。

核出術は高周波切除器にリング導子を接続して、その先で腺筋症の病巣部位を摘出するものです。子宮の全摘に比べ、体への負担が格段に抑えられるだけでなく、妊娠の可能性を残すことができます。

この治療を受けた9割強の患者に月経が再開し、月経痛や過多月経も改善され、1割強の患者は妊娠をしたという報告があります。一方、あまりに病変部が大きく、全部を取りきれずに再発する人も7%ほどいます。

施術にあたって、まず子宮腺筋症かどうかをMRIで確認します。子宮腺筋症は筋層に入り込んでいるために病変部の位置が特定しにくく、病変部と健康な子宮筋層の区別が難しいので、実際に回復し、指診と触診によって病変部の部位や大きさなどを特定することになります

子宮腺筋症は、病変部が支給筋層に深く入り込んでいるびまん性のもの、固まりなっている結節性のものがあります。

また、それぞれ子宮内のある部分だけに病変部がある部分性、子宮全体が腺筋症となっている全周性など、個人差も大きくあります。

それぞれの大きさや部位に合ったリング導子によって、1個ずつ切除します。

子宮腺筋症を切除した場合の出血については個人差がありますが、手術中に輸血が必要になるのは2%弱です。

入院期間は、摘出した病巣の大きさなどによりますが、12日前後で退院できることが多く、退院後は比較的すぐ日常生活に戻ることができます。