皮膚白血病

皮膚白血病leukemia cutis

 リンパ性および骨髄性白血病の腫瑣細胞か皮膚に浸潤して皮疹を発する場合と,逆に皮膚のリンパ腫の細胞が流血中に入って白血病性血液像を呈することがあり,これらを特異疹と呼び,前者の場合がはるかに多い.前者の場合は慢性型〔CLL, CML〕が急性型[ALL, AML〕に比して多い.さらに皮膚に腫瘍細胞は増殖しないが,白血病に併発する種々の皮疹を非特異疹と呼ぶ.

 1)特異疹:丘疹・結節・腫瘤・紅皮症を生ずる.顔面に広く腫瘤を生じて獅子面(facies leontina)となることがある.

 2)非特異疹:紫斑・丘疹・水疱・膿疱・多型滲出性紅斑・じんま疹・湿疹・痒疹・紅皮症・皮膚痰痒症一色素異常〔びまん性ないし斑状〕など。また白血病自体およびその治療による免疫不全状態はウイルス性疾患〔とくに帯状疱疹〕・汎発性白癬・カンジダ症を併発しやすい.

07.多発性骨髄腫multiple myeloma

 骨髄における異型形質細胞の増殖〔形質細胞腫plasmacytoma〕で,病的骨折を生じやすく,また単クロン性lg〔GまたはAまれにD〕が増量し尿中にBence Jones蛋白が出る.予後不良感染症・腎不全〕.皮膚症状は,特異疹として,①骨から連続性侵襲が皮膚に及び,骨に癒着した硬結,②血行性転移による多発性結節,非特異疹として,①アミロイド沈着〔巨舌症・紫斑・丘疹・脱毛〕,②クリオグロブリン血症〔レイノー症状・潰廳・紫斑〕,③その他〔黄色腫・色素沈着・紅斑・魚鱗癬様皮疹〕などがある.

 〔付〕皮膚形質細胞増多症cutaneous plasmocytosis : ①主として体幹に赤褐~紫褐色斑が徐々に多発,②青壮年期に発生,③表在リンパ節腫脹はまれ,④約60~70%に多クロン性高γグロブリン症あり,④多発性骨俑腫へ進行する可能性はある.