木村病

木村病morbus Kimura 〔1948〕

 〔同義語〕軟部好酸球肉芽腫〔綿貫1962〕,好酸球性リンパ濾胞増殖症〔川田1966〕eosinophilic lymphfolliculosis of the skin, eosinophilic lymphoid granuloma 〔飯塚1959〕, subcutaneous angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia〔Wells-Whimsterl969〕.

 〔症状〕[付図26-45]

 男子に多く〔7:1〕,主としてわが国で報告される.顔面〔耳下腺部・耳・頬・顎下・上眼険〕に圧倒的に多く,頚・鎖骨上部・腋窩・鼡径・肘窩・上腕屈側がこれに次ぐ.単発型は顔面・頚部を,多発播種型は体幹・四肢を侵す.いずれも表在リンパ節の多い部位であるが,リンパ節自身は侵されない.

 皮下~皮内腫瘤で,扁平ないし半球状に隆起し,弾性軟で部分的に硬結を混ずる.表面皮膚は褐色を帯び,ときに 痒あり.末梢血・骨髄に著明な好酸球増多症[30~40%]をみ,またlgE上昇,アトピー性皮膚炎・痒疹の合併等をみる.

 〔病因〕一種の反応性皮膚リンパ細網組織の増殖.不明のNoxeに対する過敏反応.

 〔組織所見〕皮下に組織球を混ずるリンパ球の密な浸潤があり,その中心に大小のリンパ濾過構造[反応中心]を有する.膠原線維増生,小血管拡張,好酸球,浸潤を伴う.

 〔治療〕ステロイド剤〔オキシフェンブタゾン併用〕,軟X線照射によく反応するが,中止により再発しやすい.切除.悪性化することはない.

02.組織球症χ histiocytosis X 〔Lichtenstein 1953〕

 組織球様細胞の肉芽腫様増殖で,組織・経過からみて悪性と考えられる.年齢的にA→B→Cの順に多くなり,予後も良くなり,かつ,皮膚侵襲→骨侵襲と病変の部位が変わってくる.