英会話でpleaseというワードは非常に重要


「コーヒーを下さい」

 どんな言語であっても、話し言葉は長くなるよりも短くなる傾向があるようだ。英語も例外ではない。国際的な共通語としてさまざまな人々に使われているために、oral communicationにおいては英語の簡略化は、もっとも進んでいるかもしれない。

 例えば、飲み物を勧めるのであれば、

 Would you like to have tea or coffee ?

というのが普通である。これは立派な言い方で、どの英語の教科書にも書いてある表現である。

 しかし国際線のflight attendants (飛行機の乗務員、スチュワーデス)の英語を聞いてみると、Would you like
to have tea or coffee ? と言う代わりに、Tea or coffee?となっている。これはもちろん短時間にすばやく仕事をするという状況からきており、まことに適切な表現と言うべきであろう。

 さて本題に入るが、問題はこれにどう反応するかということである。私自身もかつてそうであったのだが、ほとんどの日本人は、l want coffee.とかCoffee.
あるいはI'd like to have coffee. のように答えているようである。

 何が欲しいかということを伝えるという意味では、これで十分なのではあるが、人と人同士のコミュニケーションという点から見るとこれは偉ぶった言い方ととられかねない。

 ネイティブスピーカーがどう答えているか観察してみると、彼らは次のように言うはずである。

  Coffee, please.

  I'd like to have tea please.

 彼らはかならずpleaseをつけるのである。実に単純なことではあるが、pleaseの一語がつけ加えられることによって、ていねいな心暖まるコミュニケーションができあがる。

 日本の英語教育でも、pleaseという単語は中学1年で習うけれども、その実際的な使い方となるとまったく習得されていないというのが現状のようである。たとえば、英語の試験で、

  Would you like to have tea or coffee ?

に対する答えは、

  l would like to have tea/coffee.

であると教えられている。文法的にはこれで正しいが、人間同士の感情が交流するコミュニケーションにおいては十分ではないのである。