翻訳者ネットワークの整備

震災直後から13言語で外国人の問い合わせに電話で応対し、震災に関する情報を流し続けながら、震災から4日後の1月21日に電話相談の窓口を正式に開設した団体がありました。当時、外国人地震情報センターと呼ばれた、現在の多文化共生センターです。

多文化共生センターでは、多言語での電話相談、パソコン教室、日本語学習支援などを行い、特に日本語を母語とせず、社会の中で日本人、日本語との接点がまだ少ないニューカマーや学齢期に達する子供たちの支援に焦点を置いています。

ニュースや天気予報の情報提供が「@nippon」で、英語、スペイン語、ポルトガル語、ピリピノ語、韓国語と中国語で始まりました。また、言葉や制度の壁で医療や保健サービスが利用しにくくなっている外国人のために、1か月に2回定期的に、ブラジル人医師がスペイン語、ポルトガル語、英語、日本語で医療相談会を行っています。その予約もスペイン語、ポルトガル語、英語でできます。外国人が医療機関を利用しやすいように、医学用語辞典が作成されました。センターはこれらの事業が外国人のためだけでなく、日本人の医療、保健サービスの充実にもつながると考えています。

NGO「神戸アジアタウン推進協議会」が、行政やNGOの相談窓口を活用する形で、多言語情報提供の仕組みを作り、情報のネットワーク作りをしています。

ニューズレターの作製は相談窓口がするのではなく、多言語情報センターデータベースセンターのような中核的なコントロールタワーが行います。

相談窓口と一緒に多言語化する日本語の元原稿を作ります。日本語原稿を翻訳する翻訳者のネットワークを多言語情報データベースセンターのコントロールの下に置きます。

翻訳者が日本でも外国でも対応できるように、ネットワークは、登録された様々な言語の翻訳者のメーリングリストで構成します。

相談窓口と一緒に、1週間に1回か2週間に1回程度原稿を作り、翻訳者のネットワークを使ってこれを多言語化して、ニューズレターにします。

同会はこの流れを日常的に繰り返しています。つまり、情報を一方的に送るだけではなく、受け取った後に生じる具体的な質問には多言語対応の相談窓口が応えるということになり、循環しているのです。単純なように見えますが、この作業の間に、緊急時に多言語情報を提供できるネットワークが出来上がっていくのです。