マリファナの使用は他の違法薬物の使用につながるのか


マリファナの使用は他の不法薬物の使用につながり、最終的にはこれらの薬物の中毒症状に陥るのか――。これはかねてから広く議論されてきたポイントです。肯定する人たちはマリファナが比較的害の少ない薬物ではあっても、マリファナよりはるかに危険の大きい薬物に手を伸ばすいわば踏み石になるのではないかと考えています。この意味で1960年代にはマリファナの使用がLSDやヘロインの使用につながる危険が懸念されましたが、今ではコカインの使用につながる可能性が最も懸念されています。

数多くの調査によって、精神活性薬を使用する若者はアルコールとタバコを手始めに使用し、次いでマリファナに手を広げることがわかっています。そしてこれ以外の様々な不法薬物にも手を伸ばす傾向があります。コカイン使用者のほとんどはそれ以前にマリファナや他の何種類かの不法薬物を使用した経験をもっています。たとえばキャンデルらは、ニューヨークの53の学校で13~18歳の生徒7611名を対象に調査を行っていますが、全体のうち995名がマリファナ経験を持ち、403名がコカインを経験し、そのうち121名がクラック・コカインも同時に経験していました。アルコールやタバコの使用は12~13歳にかけて始まる傾向があり、マリファナは同じく15歳、コカインは15~16歳でした。クラックコカインの3分の2のケースで友人の全員、またはほとんどがすでにマリファナを使用しており、同じく38%のケースでコカインを使用していました。しかしだからといって、ある薬物の使用がほかの薬物の使用につながると直ちに断ずることはできません。ズイマーおよびモーガンは次のように言います。

「結局のところ、常用性理論は理論でもなんでもないのである。薬物を複数使用する者は普及率の高い薬物から始め、普及率の低い薬物に移行していくという一般的なものの順序を言い表しているにすぎないのだ。同じような統計的関係は、ほかの領域の普及率の高い活動と低い活動との間にも見ることができる。たとえばオートバイに乗る人のほとんどは自転車にも乗った経験がある。実際、自転車に乗ることがオートバイに乗ることの原因になっているわけではなく、前者の増加がそのまま後者の増加につながるわけでもない。薬物についても、マリファナの使用率の増加が機械的にコカインなどの薬物の使用率の増加につながるわけではないのである」