無症候性脳梗塞と診断されたら

もし、あなたが無症候性脳梗塞と医師に言われたら、まずそれがどれくらい危険な状態なのかを確認しましょう。ポイントとしては無症候性脳梗塞の数と、脳や頸部の太い動脈に異常があるかないかです。数個の無症候性脳梗塞は、五〇歳以上の人では血管の年齢性変化として普通にみられる所見です。

 無症候性脳梗塞は、年齢、高血圧、頸部内頸動脈狭窄、喫煙、糖尿病、ワルファリン治療を受けていない不整脈(心房細動)などか関連して生じるといわれています。どれも脳卒中のリスクファクターであることから、この無症候性脳梗塞があると、その後の脳卒中発症のリスクは上がるといわれています。

 もし、あなたか無症候性脳梗塞はあるけれども、太い動脈にも異常はないし、不整脈もなかった場合は、緊急事態ではありませんので落ち着いてください。なかには無症候性脳梗塞がみつかったといわれただけで、落ち込んでうつ状態になってしまう人もいますが、これでは正しい脳ドックの利用法とはいえません。自分の生活を振り返り、改善すべきところを改善する時間は十分にあるということをよく理解してください。

 MRA検査で、脳底部の太い血管や頸部内頸動脈に狭窄、あるいは閉塞病変がみつかった場合には、無症候性脳梗塞といえども、将来の脳卒中発症リスクかぐんと上がってきます。ハイリスクの人は、脳血流検査を受け虚血の程度を検討する必要もあります。こうした検査結果は、予防的な治療をどの程度急がなければならないかを教えてくれます。

 血液検査や血圧、心電図などの検査結果も利用して、血圧や血糖値など、自分が改善に取り組むべきターゲッ卜を絞ってください。特に高血圧は、脳トヨタで発見される無症候性脳梗塞大脳白質病変との強い関連かあると考えられています。まずは食事や運動に注意して、ストレスを減らすよう心がけ、それらかどう変化するかを三~六か月単位で様子をみましょう。

 改善がみられなかった場合は、躊躇せずに降圧薬などの服薬を検討すべきですから、かかりつけ医、あるいは脳ドックを受診した病院に相談してください。

 ときどき、脳梗塞ではない加齢に伴う偽脳梗塞様の画像所見に対して、抗血小板薬を処方されている患者さんがいるそうです。安易に抗血小板薬を飲みはじめるのは、出血などの副作用を考えると避けなくてはなりません。