細網組織球腫

細網組織球腫reticulohistiocytoma

 [同義語]巨細胞性細網組織球腫giant-cell reticulohistiocytoma

 〔症状〕皮疹の他に他臓器を侵すもの〔multicentric reticulohistiocytosis Orkin-Goltz 1964]と,皮疹のみのもの〔reticulohistiocytic granuloma Purvis- Hclwigl 954〕とがある.

 1)皮疹:淡紅~褐色の小丘疹が,爪周囲・指背側面・手背・前腕・肘頭・膝蓋・頭部などに単発または多発,ときに集簇して局面形成.まれに粘膜にも発生.

 2)他臓器症状:四肢関節〔とくにDIP〕を主として関節炎arthritismutilans〔運動障害一発赤腫脹・変形・腱鞘腫脹〕.その他,体重減少,発熱など. 〔組織所見〕真皮上層に,表皮直下に一帯の膠原線維をおいて,円~楕円形の巨細胞が集簇し,その下に大型の明るい組織球〔原形質は顆粒状でスリガラス様にみえる〕が浸潤.

 〔予後〕皮疹は進行性または自然治癒.心肺疾患・悪性腫瘍の合併することあり.

   悪性リンパ脯(ML)の一般的stage分類は直ちに皮膚のMLに当てはまらない.皮膚病巣が,皮膚原発か,自所性多発性のものか,皮膚への転移であるか,決め手に欠くあるいは定説がないからである.またMFのように明らかに皮膚原発と考えられるMLの場合でもいつ全身的療法を開始すべきかもむつかしい問題である.

 疾患別,あるいは症例別にそれぞれ考えるべきであるが,一般的に共通したものについて述べる.

 1)手術療法:単発性のもの,あるいは限局性小病巣のものに適する.腫瘍は周囲に浸潤性に及ぶことが多いので,十分広くとる必要がある.

 2)抗腫瘍剤:内臓侵襲もある時には,個々のしらみつぶし的局所療法で閧に合わず,全身的に抗腫瘍剤を投与する必要が生じてくる.しかしこれらは同時に全身的副作用も強い薬剤であるから,その投与方式には種々の工夫が必要で, CHOP〔cyclophosphamide, adriamycin, vincristine, predonisolone〕, CHOP一Bleo,VEMP〔vincristine, endoxan, 6MP, predonisolone〕, BEMP〔Bはbleomycin,以下同じ〕, VEMP〔Vはvinblastine〕, VENP〔Nはnatulan〕, MOPP〔vincristine,nitrogen mustard, procarbazine, predonisolone〕, VEPAM〔vincristine,cyclophosphamide, adriamycin, methotreχate, piedonisolone]のような多剤併用で,寛解導入・寛解強化・寛解維持・再寛解強化療法を順次行う.

 3)ステロイド剤:特にMLに有効.大量投与,かつ長期にわたり維持量を投与する必要がある.

 4)放射線療法:上皮性腫瘍に比しはるかに少量で反応し, 2,000~4, OOORの少量ですむこともある.びらん反応まで照射すれば確実である.皮膚に限局している限り,全身への悪影響のない点,最も優れた療法である.広範囲あるいは紅皮症化したものには,広範囲照射法〔軟X線・電子線〕が適する.