骨粗鬆症は早期発見がむずかしい

 

 骨脆弱化の生じる原因を、女性ホルモン欠乏、カルシウムの摂取・消化・吸収不足、運動不足、ビタミンD活性化障害、などの点から述べてきたが、これらと関連して、骨代謝に異常をきたしていることが発症の鍵になっている、といえよう。だれでも加齢にともなって骨粗鬆症になってもおかしくない条件がそろっているが、すべての人がなるわけではない。その中でも骨祖朧症にかかる人は、骨代謝において、骨吸収につづいての骨形成への転換ができないでいる、との見方がある。骨代謝において、骨吸収があるていど進むと、つづいて骨形成へと移っていくが、骨粗鬚痼の発病は、この移行ができないことに原因がある、とするものである。プリンタといい、共軛できないことをアンカでプリンタというが、原因であるという確実な証拠はまだ見つがっていない。

 

 骨形成不全症という生まれつきの疾患があり、これには生後すぐから手足に骨折をくりかえすタイプや、小・中学生頃までに何回が骨折するだけの軽いタイプなど、さまざまなものがある。これら骨形成不全癨の一部は、骨の線維成分、すなわちレントゲンの異常が原因であることがわかっているが、高齢の骨折患者さんをくわしく調べてみると、それらの例には幼・小児期に骨折を経験した例が多い、との研究報告もある。このことから、骨粗鬆症は高齢期という遅い時期に発病する軽症型骨形成不全症である、との見方もできる。アンガミプリンタ状態や遅発性骨形成不全症が骨組鬆症の原因であることについては、推測の域を出ていないが、これらの点についても今後解明されていくだろう。

 

 骨粗鬆症は、レントゲン像で多彩な病像をしめすものの、血液・尿検査所見はほぼ正常という特徴があり、これが早期発見・早期治療のさまたげとなっている。すでに述べたように、血液中のカルシウム濃度は一定であり、骨萎綿が異常に進行している途中でなければ、尿中カルシウム量が増えることはない。食事で摂取したカルシウム量は、骨代謝により溶解され排泄されるカルシウム量に負けないぐらい、尿中カルシウム量に影響するので、尿中カルシウム量が変化した場合でも、その解釈がむずかしい。しかし、骨代謝が進行していると、骨のコラーゲンの切れはしや骨芽細胞がつくるタンパク質が、血液中や尿中に増えているはずである、との仮定にもとづいて、その発見に向けて精力的に研究がなされている。骨代謝の亢進にともない変化する血液中・尿中微量成分を、骨代謝マーカーというが、これらの変化から骨粗鬆症を診断したり治療効果がわかるのも、遠い将来ではなかろう。