骨粗鬆症の諸類型

 

骨粗鬆症とは

 

 

 骨のカルシウム量が減少し、それにより骨が弱くなったために容易に骨折をひきおこす状態が、骨粗鬆症である。とくに閉経後には骨萎縮が進みやすく、その結果、いろいろな症状を訴える女性が多くなるが、この場合は閉経後骨祖銀症という。一方、七〇歳代以上の高齢者が骨折しやすくなる状態を、老人性骨粗銀症という。また、これとは別の命名法として、約。五年前にアノリカのメーヨークは、閉経後に生じる骨粗銀症をタイフー骨粗鬆症、老人性骨粗霧疝をタイフー骨粗鬆症としたが、この呼び方は海外で広く用いられている。

 

 タイフー骨粗察症は、主として胸椎・腰椎などの海綿骨に骨萎縮が生じている状態で、その原因は主として女性ホルモンの欠如による。一方、タイフー骨粗銀症は、胸椎・腰椎、手や足の長管骨を構成する皮質骨にも骨萎縮が生じているため、胸・腰椎の圧迫骨折に加えて、

転倒などによる手足の骨折もおこしやすいのが特徴である。タイプa骨粗銀症では、ビタミンD活性化の低下などによる、腸管におけるカルシウム吸収率の低下が、骨萎縮の大きな原因となっている。

 

 加齢にともなう骨萎縮以外の原因による骨粗鬆症もある。日本人には比較的少ないが、成長期の青少年は骨にどんどんカルシウムをたくわえなければならないのに、食料事情が悪いため十分にカルシウムを摂取できない場合でも、骨粗鬆症となる。このような状況下で生じた骨粗鬆症を若年性骨粗鬆症といい、この症例では、ジャンプをすると脊椎椎体に圧迫骨折が生じることもある。もう一つのタイプとしては、出産後の女性に見られる骨粗鬆症がある。これは母親が新生児にカルシウムを分け与えたうえに、授乳でもどんどんカルシウムを与えてしまうのに、それに見合うだけのカルシウム量を経口摂取していないために、骨に萎縮をおこす場合である。これを出産後骨粗鬆症というが、分類では特発性骨粗鬆症に属する。加齢にはかかわりなく、原因も明確にはできないことから、特発性という名がつけられているのである。出産といったように原因が明確ではないが、との意見もあるが、妊娠中・授乳中の女性は腸管からのカルシウム吸収率が上昇し(妊娠後期で約二四%、授乳中で約八%増加)、それだけでは骨粗鬆症にはなりにくいものである。そこで、もし出産後に脊椎圧迫骨折で寝込むようなことがあれば、骨萎縮をもたらした原因は未知のものである 可能性がある、ということで、特発性骨粗銀症と診断される。

 

 閉経後骨粗銀症、老人性骨祖霧症、若年性骨粗銀症、特発性骨粗鬆症の四つは、治癒しうるこれといった病気やとりのぞける原因がないまま体が弱くなっていることからこれらは総合して原発骨粗しょう症という。これら以外に、慢性関節リウマチや膠原病ネフローゼなどの治療薬として用いられる副腎皮質ホルモンの内服や長期間の寝たきり、麻痺などにより骨が弱くなり、骨折しやすくなった状態を、二次性骨梃銀症という。二次性とは、別の原因疾患や状態・薬などにもとづいて生じているということで、続発性骨粗鬆症ともいわれる。

 

 いずれの骨粗鬆症においても、骨の中のミネラルとタンパク質(コラーケン線維)との割合を変えずに両者とも減少している、といったことが特徴的である。骨が折れやすくなる類似疾患として、骨軟化症というビタミンD欠乏疾患があるが、この病気では骨の線維成分であるコラーゲンが形成されても、それにカルシウムなどのミネラルが沈着しにくいことが原因となっている。したがって、骨軟化症の骨においては、そこに含まれるミネラルとタンパク質との割合が、ミネラル減少のほうに傾いている。一方、骨粗鬆症では、組成としては若い人と同じ骨であるが、令体として屏が少なくなっていて、骨脆弱性が増した状態であるので、ミネラルにくらべてタンパク質が多い骨軟化症とは区別されている。