手首の骨折

 

 

 転倒時に手のひらをついて生じる骨折が手首の骨折で、これも介達骨折に属する。前腕の骨は、手首近くで太くなっている橈骨と、肘関節付近で太くたっている尺骨とからたっており、この二本の骨が平行になったりして、前腕の複雑ですぐれた機能が保障されている。もし、手のひらをついた場合に骨折が手首の関節から二~三センチ以内の橈骨に生じ、そのために、手首が上向きに曲がればコーレス骨折、下向きに曲がれば逆コーレス骨折、またはスミス骨折という。これらを総称して、桂骨遠位端骨折ともいうが、いずれもむずかしい名 称であるので、以後は手首の骨折として説明する。手首において細くたっている尺骨は、脇役をしているだけなので折れることが少ないうえ、たとえ骨折したとしても、影響が小さいので、尺骨遠位端骨折にはあまり関心が払われない。

 

 橈昇が手首の関節面に他行した形で折れるコーレス骨折の場合、手首近くが手の甲の方向にカリフし、前腕と手は全体として大きなフォークのような形に変形する。手首が大きく変形するわりには骨折部の痛みは強くなく、反対側の手で骨折部を押さえて、歩いて来院する患者さんが多い。コーレス骨折であっても、手首の関節面に平行した骨折線に加えて、そこからさらに橈骨の・関節面におよんでいない場合、関節面に骨折線がおよんでいるうえに骨折片がバラバラに散らばっている場合、などさまざまである。関節向に骨折がおよんでいて、骨折片が粉砕しているために、関節面がニミリ以上のずれを生じている場合は、手術により整復し、榿復位を保つために細いワイヤ一を通して骨折部を固定した上でギプスを巻くなどの治療がおこなわれる。しかし、手を強く引こはることによって骨折部をうまく整復できれば、そのままの状態ナフス固定をするといった保存療法が選ばれることが多い。