ビスフォスフォネート製剤

 

 

 ビスフォスフォネートは、合成されたリンの化合物であり、カルシウム、とりわけ骨のミネラルであるヒドロキシアパタイトと結合する性質が強い。破骨細胞により骨吸収される骨表面をなくしてしまう。そのうえ、骨を溶かす破骨細胞の数を減らしたり、破骨細胞が骨を溶かすさいに用いる刷子縁を少なくする性質もある。し心がってビスフォスフォスネートは、骨代謝回転が亢進していて、どんどん骨吸収が進行するといった、閉経後の女性や副腎ホルモン内服者に効果的である。

 

 ビスフォスフィネートの仲間としては、日本でも薬が発売されているが、近い将来にはさらに強力な作用をする別の薬の発売も計画されている。腰椎の骨密度を卜昇させる作用や脊椎椎体圧迫骨折の頻度を低下させる作用が確認されており、さらにカルシトニン製剤と同様に、骨粗朧朧にともなう腰や背中の痛みをやわらげる効果もみとめられている。ところが、この薬剤と食べ物として摂りこまれたカルシウムとは、囗や胃腸の中で結合して、体内へ吸収されない化合物となってしまうため、食事と食事とのあいだの時間帯に水といっしょに服用することが必要である。また、骨吸収の抑制が強すぎるため、二週間服用したら三ヶ月休むといった服用方法をとると、効果的であるとされている。したがって、治療を受けている患者さんは、二週間分の薬をもらって服用したあとは、三か月間は通院しなくてもよく、その後ふたたび、二週間服用、三か月間通院なし、といった服用方法をくりかえすことになる。この服用方法は楽であるともいえるが、忘れないようにつづけるのがむずかしいともいえる。

 

 これら七種類の骨粗鬆痼治療薬を服用している人は、日本全国に一九〇万人ぐらいいるものと推定されており、いすれの薬も長期間継続することが望まれる。しかし、薬物療法をつづけている期間中は、効果と副作用について年に三~四回はチェックをし、効果が明瞭でない状況がつづけば薬を変える必要があろう。何種類かの薬を併用する治療法は現実的によくおこなわれているが、その有効性の検証が今後の課題とされている。