イプリフラボン製剤

 

 

 イプリフラボン製剤は、人体には含まれていない植物性のビタミン様物質であり、合成によりつくられる骨粗轍症治療薬として、日本やイタリアでよく使われている。本剤は、骨吸収を抑え、骨形成をうながす作用があり、使いやすい薬であるが、作用はあまり強くない。イプリフラボン製剤を服用することにより、手の骨、腰の骨、腕の骨などのカルシウム隴を増やした、といいう研究報告がこれまでは多かったが、最近になって、背骨の骨折率を明らかに低下させる、といった研究報告も出てきたところである。

 

 作用機序やこれまでの治療成績からみて、本剤は卵巣を摘出した女性や閉経直後の女性には特に有効であるが、高齢の骨粗鬆にたいしても有効性がみとめられている。イプリフラボン製剤は、ゆるやかにしか効果が出ないために長期間使用されることが多いが、まれに胃部不快感、食欲不振、吐き気など消化器症状をしめすことがあり、消化器潰蕩のある人は、禁忌とまではいかないが慎重に服用したほうがよいとされている。

 

 

 ビタミンK製剤

 

 ビタミンKは、y‐カルボキサグルタミン酸という、カルシウムと結合しやすい分子をもったタンパク質をつくるのに役立つ。このためにビタミンKは骨芽細胞のはたらきをうながすが、一方では骨吸収を抑える作用もあることが知られている。ビタミンKにもたくさんの仲問があるが、その中でもビタミン胞は骨をつくるのにもっとも強くはたらくことがわかったので、骨粗鬆症治療薬としてビタミン製剤が使われるようになった。

 

 ビタミン製剤を内服した骨粗鬆症の患者さんについては、手の指の骨密度増加効果が確認されただけでなく、脊椎の圧迫骨折の頻度も低下することがわかり、最近では体内で広く用いられている。副作用として便秘、腹部もたれ感など胃腸障胄があらわれることもあるが、いずれも軽いものである。ただ、もっとも注意しなければならないのは、ワルファリンという血液がかたまるのを抑える薬を内服している人が、ビタミン胞製剤を内服するとワーファリン効果がなくなるので、両者の併用は禁じられている。