「メシマコブ」独自の多糖体が免疫力を大きく増強させる

 キノコには確かに抗ガン作用があるが、その作用について大きな誤解をしている人は少なくない。大きな誤解とは、多糖体そのものにガン細胞を直接攻撃する力があると考えるものである。

 

 じつは、多糖体そのものには抗ガン効果のないことはすでに証明されている。その証明は動物実験でおこなわれているが、ガン細胞と多糖体を一緒に試験管に入れてもガン細胞は変化しないのだ。

 

 では、多糖体がなぜ抗ガン効果を示すのか。

 

 それは、多糖体がガンに対する免疫力を高め、ガン細胞の成育と増殖を阻止するからである。免疫力を高める作用は、一般的には「免疫賦活作用」といわれている。

 

 そこで、「メシマコブ」の糖の構成を見ると、マンノース、ガラクトースグルコースなどで80%強を占め、比率はマンノース44・2%、ガラクトース24・1%、グルコース21・1%となっている。グルコースはそれほど多くはない。

 

 かつて、カワラタケから抽出されたクレスチン(PSK)という抗ガン剤が注目されたことがめった。このPSKもβ‐タルカンだったが、クレスチン(PSK)の糖の構成はどうなっているのか。

 

 クレスチンで圧倒的に多い糖はβ‐グルカンなどに含まれるグルコースで、じつに75%を占めている。その他は、マンノースがB・O%、ガラクトースが3・O%、キシロースが5・O%、フルクトースが2・O%となっている。

 

 「メシマコブ」に多いマンノースとガラクトースがクレスチン (PSK) にははるかに少なく、「メシマコブ」と大きく構成が違っていることは一目瞭然である。「メシマコブ」の多糖体の特徴をまとめてみると、次のようになる。

 

 ①主要構成糖は、グルコースよりもマンノースやガラクトースの割合が高い

 ②抗腫瘍活性が高いのは酸性ヘテロマンナンタンパク複合体である

 ③分子量が150KD(約15万個)で、他のキノコの分子量(100KD程度)より大

  きい

 

 他のキノコをはるかに上回る「メシマコブ」の高い免疫賦活作用は、②の「、β‐(1→6)の結合を持つ酸性ヘテロマンナンタンパク複合体」にあると考えられている。この点にこそ、「メシマコブ」がガンに対する免疫力を増強し、高い抗ガン作用を発揮する秘密があるに違いない。

 

ガン臨床医はなぜ「メシマコブを」使うのか  北用栄志[著] 定価 本体1000円(税別)