抗体反応が129倍も増強された

 もう1つの抗体反応のほうでは、129倍という信じられないような数値が出ている抗体とは、B細胞からつくられるミサイルのようなものである。

 

 繰り返しの部分もあるが、B細胞が抗体をつくるメカニズムをのぞいてみる。

 

 まず、マクロファージが異常細胞(ガン)を食べると、ヘルパーT細胞が活性化し、増殖する。その増殖したヘルパーT細胞から放出されるインターロイキン4がB細胞を刺激して、B細胞が増殖する。そして、B細胞は、マクロファージが食べたガンに合った抗体をつくる抗体産生細胞に変わり、大量の抗体をつくりはじめる。

 

 つくられた大量の抗体は目的のガンと結びつき、マクロファージやNK細胞などの標的としてガン細胞を容易に見分けるようにし、確実な攻撃をさせる。

 

 この実験に当たり、鄭先生はこう述べている。

 

 「この実験は、免疫系の重要な機能のひとつである抗体産生反応(体液性免疫反応)に『メシマコブ』が与える影響を解明する実験である。一般に担ガン動物は、ガンが進行することにより抗体の産生能力も減少するが、PSKなどの抗腫瘍タンパク多糖体は、これらの抗体の産生能力を回復させることが立証されている。したがってこの実験では、『メシマコブ』が担ガン動物の抗体の産生能力を回復させるか、そして強度はどのくらいであるかを確認したものである」

 

 鄭先生の実験の結果、ガンによって低下した抗体をつくる能力が「メシマコブ」によってよみがえることが明らかになった。その能力は、じつに129倍という驚くべき高い数字なのだ。「メシマコブ」が高い抗ガン効果を発揮する理由の一つとして、この抗体をつくり出す能力の増強があることは間違いない。

 

 こうした結果、鄭先生はこう結論づけている。

 

 「強力な免疫増強作用によって、(『メシマコブ』は)ガンの治療や予防はもちろん、さらに進んで慢性肝炎を含む各種疾病の治療に応用される可能性を持つ効果的な薬物と判断される」

 

 その他、韓国生命工学研究所の兪先生も、「免疫能力5倍増強」という報告をおこなっている。

 

ガン臨床医はなぜ「メシマコブを」使うのか  北川栄志[著] 定価 本体1000円(税別)