内頸動脈内膜剥離術(CEA)

 現在、予防効果が完全に証明されているのは、頸部の内頸動脈狭窄症に対する内頸動脈内膜剥離術(CEA)です。

 CEAは、全身麻酔のもと、狭窄している頸動脈を切開して一時的に血流を遮断し、肥厚した頸動脈の内膜を除去して再び縫い合わせ、頸動脈を元通りの太さにする手術です。一九九〇年代から複数の大規模研究により、単に薬物治療を受けるよりもCEAを加えた薬物治療のほうが、脳卒中をより予防できることか示されています。

 治療の基準としては、脳梗塞の症状のある人(症候性)では七〇%以上の狭窄、症状を起こしたことのない人(無症候性)が予防的に受ける場合は六〇%以上の狭窄がある場合に、手術の効果があるとされています。ただし、これはあくまで予防的な手術なので、手術合併症が多い施設・外科医の治療では、このメリットはなくなってしまいます。

 過去の研究では、諸外国の複数の施設での手術成績を併せて解析することによって、個々の外科医の技量のばらつきを克服したデータを出しています。

 そのデータは、手術合併症率か三%以下(症候性の場合は六%以下)の熟練した外科医か手術した場合において、予防効果があると明快に示しています。