脳卒中ではすぐに救急車を呼ぶことが大事

 脳卒中は「ブレインアタック」とも呼ばれています。治療は発症してから三時間が勝負であり、その三時間を過ぎてしまうと、脳の機能が元に戻るのは難しくなります。

 第一発見者にしてもらいたい応急処置

 あなたの近くに脳卒中を疑う症状かみられる人がいたら、車の運転中や作業中であれば、まずその人を安全なところへ移動して仰向けに寝かせます。ベルトやネクタイを緩め、少しでも楽に呼吸できるようにしてください。

 苦しそうに息をして、いびきをかいているような強い意識障害がみられるときは、顔を横へ向けて顎の真ん中の部分を少し持ち上げてください。いびきが聞こえるのは舌の根元かのどの奥に落ち込んでいるからで、顎を上げると気道か開いて呼吸が楽になります。また、顔を横に向かせることで、吐いたりしたものを肺へと誤嚥するのを防ぐことかできます。

 もし、入れ歯や食べ物などが口の中に入っていたら、取ってください。そうして安静を保つたまま救急車が来るのを待ちます。

 近年、救急車に患者さんを乗せてもなかなか搬送先が決まらず、以前よりも病院に着くまで時間がかかるという報道があります。

 緊急性が低いと思われる症状のときは、救急車の利用を控えるように行政や病院でも呼びかけています。なかには、足の指を少しけがしただけでも救急車を呼ぶ人も確かにいますので、救急車は国民が共有している、限りある資源だという感覚を人々にもってもらうことは重要です。

 しかし、脳卒中か疑われる場合は遠慮なく救急車を呼ぶべきです。脳卒中脳卒中の疑われる症状こそ、救急車か本領を発揮するからです。

 以前から救急医療や病院のかかり方を、小・中学校の授業で教えるべきなのではないでしょうか。

 誰でも死ぬまでに一度は病院にかかるわけですから、①救急処置が必要な病気と、そうでないものの違い、②症状に応じた救急車の利用の仕方、③生活習慣病脳卒中心筋梗塞の予防法、④一次救急や二次救急、そして高次機能病院のそれぞれの利用の仕方などについて義務教育の期間中に子どもに教え、理解の底上げを図るべきではないかと思っています。

 キーワードのように何度も申し上げますか、脳梗塞は発疱から三時間以内の受診が治療のためにとても重要です。ただし、脳卒中の救急搬送にかかる時間は、当然地域によって違ってきます。

 たとえば、大都市圜のデータでは、家族の様子かおかしいと気づいてすぐ通報したとしても、救急車到着まで10分、搬送先の病院と連絡をとりスムーズに搬送されたとしても三〇分はかかるので、残りは二時間ちょっとしかありません。一方、地方では脳卒中救急を行っている病院までの搬送にはもっと時間がかかるでしょう。

 「あれ、この様子は脳卒中だろうか」と疑ってから、救急車を呼ぼうかどうしようか迷っている時間はほとんどないのです。