一過性脳虚血発作の症状を見逃すな

 一過性脳虚血発作の症状を見逃すな

 一過性とは「二四時間以内に症状か消失する」と定義されていますが、この場合も、数分から数十分で消失します(意識を失う発作は、この一過性脳虚血発作には含まれません)。

 具体的な症状としては、

 ①突然、手から力が抜け、持っている箸や茶碗を落として拾えなくなったか、何度かやっているうちに元に戻った

 ②右半身がしびれたか、一時間ほど横になっていたら治った

 ③朝起きてから口がうまく動かずモゴモゴとしか話かできなかったか、病院に行こうとしたら治った

 ④片方の目でみようとしたら真っ暗になったか数分で治った

 こういった症状は、一過性脳虚血発作の可能性がきわめて高いのです。ですから、こういった発作を経験したら、一刻も早く病院で検査を受けてください。神経内科脳神経外科のある病院がよいでしょう。症状がなくなったからといって治療を先送りすると、この次は一過性脳虚血発作ではなく、脳梗塞へ移行しかねません。

 一過性脳虚血発作を一度でも起こした人は、脳梗塞のリスクが通常の人の10倍にまで跳ね上がりますが、この経験は、考えようによっては幸運のお告げです。早めに治療を開始すれば、いろいろな方法で脳梗塞の発症を防ぐことかできるからです。絶対にこのお告げを見逃さないようにしましょう。

 もし、一過性脳虚血発作と思われる症状がみられた場合は、家族がかかりつけの病院に内科・神経内科脳神経外科があれば、電話して症状を説明し指示を受けましょう。症状が消失して落ち着いていれば、横になって安静にすることで脳への血流を確保することができます。もし暑い夏の日などで脱水状態であれば、コップ二杯の水を飲ませ、少しでも脳血流を保つようにします。

 病院へ向かう場合は、本人に車を運転させることは避け、必ず誰か他の人に連れて行っても