リハビリ失敗と寝たきり

 

 

 リハビリテーション訓練が順調にすすまなかった症例が、約半数にも達することからもわかるように、骨折前の歩行能力にくらべて治療が終了して退院するときの歩行能力が明らかに低下した症例は、約半数をがぞえた。とくに、家の周囲ぐらいなら歩けたという骨折患者さん九三人について調べてみると、四一人は退院時にも同じくらい歩けたが、同数の四一人は家の中でしか歩けなくなり、そして、二一人は新たに寝たきり状態となってしまった。また室内歩行しかできない状態で骨折をした二人の治療終了時の移動能力は、約半数が寝たきり状態となっていた。また、大腿骨頸部骨折を生じたニ四人の患者さんについて、治療終了後の歩行能力を調べてみると、約半数の人たちは明らかに歩行能力を低下させ、以前には歩けていた一九三人中三七人、一九%は新たな寝たきり状態におちいっていた。

 

 この一〇年間は寝たきり高齢者を少なくするため、国をあげて病気の予防、リスビリテーンヨン、適切な介護などにとりくむ施策が打ち立てられている。寝たきりの原因となりうる老人疾患はいろいろあるが、その中でもとくに骨粗鬆症に由来する大腿骨頸部・転子部骨折が寝たきりの原因となりやすいことから、骨についてよく知り、骨粗軽症を予防・治療し、そして骨折を防止することは、医療が、そして社合がとりくむべき大きなテーマとなってきたのである。

 

 第二次世界大戦後は、肺結核で死匸する青年が多いことから結核対策が重視され、その後は母子保健や栄養指導にも力が汪がれた。その結果、日本では人口の高齢化が徐々にすすんできたが、こんどは生活習慣病対策、がん対策に力を入れる必要が生じてきた。そして、国民皆保険制度による医療の普及により、平均寿命が八〇歳に近くなるほどの高齢社会が実現すると、