骨を強くする日常生活

 

 

 骨粗鬆症にもとづく骨折が、高齢者本人にとっても、社会全体にとっても、甚大な影響をおよぼすことについて述べた。それでは、骨折・寝たきりを予防するために、骨粗鬆症症を予防・治療する、転ばないようにする、そして、もし骨折をしても寝こまないようにする、などの方法としては、どのようなもの・があるのだろうか。順を追って述べていこう。

 

 骨を強くするために、運動量を増やすなど日常生活上の注意をした場合の効果と、もっとも有効な薬を内服した場合の効果とは、ほぼ等しいことが、骨量測定値から判明している。このことから、副作用の心配がなく薬剤費を必要としない日常生活上の注意で、治療効果を高めることは、だれもが実行可能な方策といえる。また、薬物療法とあわせておこ

なうことにより効果が増強することから、薬物療法と日常生活上で、車の両輪のような関係を持たせるのが最適である。

 

 骨粗鬆症を予防し、骨折を防ぐための日常生活上の注意は、大まかにいえば、骨を強くすることと転倒を防止することだといえるが、転倒防止については後で述べることとして、ここでは骨を強くする日常生活について説明する。

 

 骨を強くするには、骨の材料として欠乏しがちなカルシウムをたくさん摂取すること、ビタミンDを増やすこと、そして、血液中のカルシウムを骨に効果的に沈着させるために運動をすること、の三つが必要となる。ビタミンDを増やすには日光浴が有効であるため、食事療法、日光浴、運動療法の三つが、日常生活上心がけるべき具体的な三原則となる。