カルシトニン製剤

 

 

 カルシトニン製剤の主要なけたらきは、骨粗鬆症により生じる痛みをやわらげることであるが、製剤の種類によっては骨量を増加させるのにも効果がある。本剤はホルモン剤であり、注射によって投与する。サケカルシトニン(サケからとれるカルシトニン製剤)と一ルカトユン(ウナギからとれるカルシトニン製剤)の二種類が広く用いられているが、骨粗鬆症に由来する

 

腰背痛にたいしては、いずれの製剤でも週二回、四週間ほどの期間にわたって注射することにより、顕著な鎮痛効果が期待できる。一ルカトユンニ○量位を週一回注射することにより、手の骨や腰椎の骨密度が確実に増えた、との報告がある。いずれの効果も、カルシトニンが骨を溶かす破骨細胞のはたらきを抑えることにより得られるものである。このことから、カルシトニン製剤が骨量を増加させることができる患者さんとしては、骨代謝が活発でどんどん骨のカルシウム量が減っていく閉経直後の女性が、第一にあげられる。しかし日本では、患者さんの年齢とは関係なく広く用いられる傾向があり、それによって相当の効果をあげているのが実態である。

 

 骨粗鬆症が原因となって生じる腰背痛などの痛みにたいしてカルシトニン製剤を用いるときには約四週間、骨を増やすためには一~二年間使用するが、年余にわたってカルシトニン製剤を使用するとやがて効果が減弱してくる。この作用は活性ビタミン製剤でもみとめられ、一種の副作用ともいえるが、その原因は破骨細胞が薬慣れして無関心となる現象であると考えられている。ほかに、顔面紅潮や悪心、また稀ではあるがショョクなどの副作用もみとめられている。