活性型ビタミン製剤

 

 

 ビタミンの構造式の1の部位に水酸基が結合したアルファカル辷ドール、1と25の部位に水酸基が二つ結合したカルントリオールは、ビタミン隋にくらべてそれぞれ七五〇倍、一五〇〇倍も作用が強いため、活性型ビタミン防製剤と仟ばれる。この薬は、日本で約一五年的頃から骨粗鬆症治療薬として使われ、その有効性から、骨組鬆症は薬で治せるのだと実感した医帥が多くなり、それをきっかけに、骨粗鬆症にたいする薬物療法がひろまったといってもよい。

 

 日本の医師から高い評価を得て、骨粗鬆治療薬全体の五〇%以上のシェアを占めている活性型ビタミン防製剤も、海外においてはあまり多く使われていない。その理由は、西欧先進国では牛乳・乳製品の摂取量が多く、アメリカでは牛乳にビタミンDを添加しているぐらいで、活性犂ビタミン製剤の主要なはたらきである、カルシウムの腸管からの吸収率増加作用の必要性が認識されていたいためである。このように、生活習慣を色濃く反映して生じる骨粗鬆症薬物療法は、国情や民族によって大きく異なってくるものである。

 

 活性刑ビタミンには、腸管から体内へのカルシウム吸収をうながす作用のほかに、休止している骨の細胞を活性化して骨代謝回転をさかんにする作用がある。したがって、食事などでカルシウムを十分に摂取している状態での使用が望ましく、治療研究では、アルファカルドドールとカルシウム剤を併用した一〇人は、一年間に平均八%もの骨量増加をみた。また、一年間にわたってアルファカルシドールを内服した一〇〇人は、しなかった九九人にくらべて脊椎骨折の生じる割合が半分以下に低下していた。カルシトリオールについても、服用していない人にくらべて服用している人は、一年、二年、三年後の脊椎骨折の発生率がそれぞれ一一分の一、三分のミ四分の一に低下していた、とのアメリカの研究報告がある。

 

 活性型ビタミン防製剤の副作用としては、軽いものでは胃部不快感や手足にむくみを生じることがあるが、こまるものとしては腸管からカルシウムを吸収しすぎと高カルシウム血症となり、その多すぎるカルシウムが腎臓から排泄されるさいに腎臓のフィルターをつまらせ、腎臓のはたらきを悪くすることが、まれにみられることである。