悪性骨腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫)の治療法

代表的な悪性骨腫瘍として骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫が挙げられます。

骨肉腫とユーイング肉腫に関しては、いずれも比較的若い患者が多いことや、抗がん剤・手術・放射線療法などの複数の治療手段を組み合わせて治療を行うことによって近年著しく治療成績が改善していることなど、共通点が多くみられます。いずれの治療も非常に高度な専門性を要する治療ですので、悪性骨腫瘍の治療実績が豊富な施設での治療が必要です。現在では、病気の診断が確定した後にまず抗がん剤の治療を行い、そのあと手術または放射線療法で局所の治療を、さらに抗がん剤の治療を追加する、という治療方針が広く受け入れられています。

一方、軟骨肉腫は抗がん剤放射線療法の効果が乏しく、手術による治療が中心になります。切除が可能であれば周囲の正常組織を含めて広範切除を行います。ただし、比較的高齢者に多いことや、骨盤や背骨などの切除が難しい部位に発生することが多く、手術が困難になる場合があります。愛知県がんセンター中央病院では、できるだけ骨本来の治癒能力を温存しながら腫瘍細胞を除去する方法として、切除骨の加温処理を手術に取り入れています。これにより正常骨組織の欠損を最小限にして、手術後早期からリハビリテーションを開始することが可能になり、日常生活の中で良好な機能を再獲得することができるようになっています。


ミニ医学知識:高位精巣摘除術
精巣がんの治療は、すみやかに腫瘍の原発臓器である精巣を摘除することから始まります。手術は、鼠径部を切開し、精巣への血管と精管が入った精索を鼠径部まで、精巣及び精巣上体とともに一塊りとして摘出します。その後、組織型の病理検査報告や転移の有無を調べるCTスキャンMRI、骨シンチグラフィの結果次第で次の治療を決めます。