大腿骨頸部内転骨折

 

 

 大腿骨軸にたいして骨頭がおじぎをする大腿骨頸部内転骨折は、もっとも多いタイプの骨折型である。この骨折型でも、折れた部位が大きくすれていない場合や、比較的若い患者さんで安静や訓練の指示が守れそうな場合には、大腿骨転子部から頸部をとおって骨頭に向けて、長いネジ釘を三本ていど打ちこむといった、骨接合術をおこなう。この手術では、骨頭に向かう血管が切れたままの状態で人腿骨頭を残すことになるので、大腿骨頭に血がかよわず壊死におちいる可能性もあるが、上述した大腿性頸部外転骨折と同様の骨癒合腴序を期待して、自分の骨頭を残して治そうとするものである。しかし、七五歳以上の後期高齢者であったり、安静や訓練の指示が十分に守ってもらえないような患者さん、または人腿言頸部内転骨折万骨折節が大きくずれている場合は、骨接合价が選択されない。このような例では、骨頭を除去して、金属やプラスチックを素材とする人工骨頭に置きかえる手術をおこなう。

 

 大腿骨転子部骨折では、大腿骨頭が死んでしまうことがなく、骨癒合が迅速にすすむことから、ほぼすべての例で骨接合術をおこなう。骨をつなぐさいには、まず骨折部をうまく整復しなければならないが、整復は、麻酔をかけて牽引台で操作をしたり、切開して骨を直接見ながら器具で引っぱったりすることにより、容易に目的が達せられる。整復位の固定については、大脛骨頸部骨折の場合、十分な固定力が得られるが、大腿骨転子部骨折では強固な固定が必要なので、固定力、強度、角度、長さなどを工夫したいろいろな方法が開発されている。その結果、最近ではコンプレッションーヒップスクリューやガンマネイル・ プレートが最適なものとされている。